EOS RP レビュー:買ってみて分かったこと
これまで APS-C センサーの EOS 60D を使用していたが、以前から次の性能や機能を満たすカメラを検討していた。
- APS-C より大きなセンサー
- ボケ量のコントロールが大きい
- 解像度が高く、高感度でもノイズが少ない(グラフィック素材として大変便利)
- サイレント撮影ができること(記録用なのでシーンモードのみで問題ない)
この条件を満たしかつ安価な EOS RP が発売されたので、評判を見つつ4月末に RF35 MACRO IS STM マウントアダプターキットを購入した。
RF35mm F1.8 マクロ IS STM は小型軽量でハーフマクロもこなせるレンズで、日常のスナップにちょうどいい。そしてキットに付属のマウントアダプターは EOS R で初めて導入されたコントロールリングのついたもの。
電子ビューファインダー(EVF)の表示や遅延
今回 EVF を搭載したカメラを手にするのはオリンパスの OM-D E-M5 Mark II に続いて2台目となるが、正直なところあまり見え方には期待していなかった。
ところがファインダーを覗いてみると思っていたように見え方が自然で遅延も少なく、青みがかった色でギラつきを感じる E-M5 Mark II よりもずっと良い。背面モニターとの色の違いも少ない。
仕様上では EOS R が 3.7 Mpixels、EOS RP が 2.4 Mpixels と EOS R より解像度は低く完璧かといえばそうではないが、思っていたより荒い印象はなかった。それにファインダー像の大きさは APS-C センサーの一眼レフの OVF と比べればずっと大きい(面積比 126 %)。
欠点としては EVF の光軸から目が少しでもずれると周辺部の像が流れてしまうこと。カメラ上部の出っ張りが非常に小さいこと考えれば及第点か。
MFピーキングはどのくらい使えるか
EVF でも背面モニターでも必要十分。大口径のレンズでも OVF より歩留まりがよい。
ただしEFレンズやRFレンズではレンズ側のスイッチをMFにしないとこの機能は使えないことに注意。これはフルタイムマニュアルフォーカス対応のレンズでオートフォーカス後に微調整をしたいときに困る。ファームウェアのアップデートで改善されることに期待したい。
顔認識・瞳 AFはどのくらい使えるか
まず一眼レフとの違いであるデュアルピクセル CMOS AF によるオートフォーカスは、ほぼ EOS 60D と同等の速度で動作する (EF28/1.8, EF100/2, EF400/5.6L で比較)。フォーカスエリアやポイントは左右の端を除くほぼ全面から選べ、位置は背面モニタをタッチやスワイプすることで設定できて使いやすい。
顔認識・瞳 AF があるのはとても良かった。動き回る子供に対して主に RF35mm での使用で、被写体が近距離で近づくなどして大きくフォーカスを外した場合を除き、ほぼすべての写真がぴったり目に合焦していた。RF35mm 使用時はだいたい被写体との距離が 90 cm あるかどうかで快適さが変わってくる。それより近いとフォーカスが迷うことが多いが、距離が保たれていれば快適に撮影できるが。
一眼レフでは瞳にぴったりフォーカスを合わせるのが難しかったので、EOS 6D や 6D Mark II ではなく EOS RP にしてよかったと思うことの一つだ。
シーンモードのみのサイレント撮影はどのくらい使えるのか
シーンモードではISO、絞り、シャッタースピードがすべて自動で設定される。またISOは上限も設定できない。
もし絞りを開けたい場合はNDフィルターを使ってカメラに届く光量を減らすことで絞り数値が小さくなるが、ISOオートの上限である12800が選ばれて画質が落ちてしまうし、シャッタースピードも低速限界まで遅くなってしまう。
ただし電磁絞りがないマニュアルレンズなら話は別。シャッタースピードさえオートで問題なければ、思い通りの被写界深度の画が得られる。最近では Samyang や Laowa から安価で高性能なマニュアルレンズが発売されているのでそれを使うのも手だ。
とはいえ通常のシャッター音が静かで高音成分も少ないため、これまでの一眼レフの「LV ソフト撮影」で間に合う状況では十分だ。同じ場所で比較したわけではないが、EOS 6D Mark II の「LV ソフト撮影」や EOS 5D Mark II の「LV 静音撮影」と同じくらい、また EOS M5 よりもかなり小さく感じる。
コントロールリングの操作性
他の多くのレビューでも触れられている通り、適度なクリック感があり思い通りの操作ができる。
私の場合はここに露出補正を割り当て、M(マニュアル)モードと、EOS R で新たに搭載された Fv(フレキシブル AE)モードの間を行き来して撮影している。
というのも EOS シリーズでは M, Tv, Av, P の各モードで ISO 設定が共有されており、M モードでは ISO 手動、Av モードでは ISO オート、という設定をしたいができない。一方の Fv モードでは独立して ISO 設定が保存されているため、こちらを ISO オートの Tv/Av/P として状況に応じて使い分けている。
これまでの EOS では露出補正もすべて右手で操作していたので、左手で独立したコントロールが得られたのは大きな進歩だと思う。
その他良かった点、気になる点
- タッチパネルの操作性がよく自然に操作できる。スクロールやドラッグ操作は現在のスマートフォン並とまではいかないが、初期の Android よりずっとよい
- RF35mm は絞り解放から安心して使える解像力でボケもきれい。大口径でコンパクトかつ手ぶれ補正つき、非常に雰囲気よく写るのでこれを EOS RP のキットレンズにした理由がよくわかる。ただしハーフマクロで繰り出し式のフォーカス方式のためレンズの移動量が大きく、一度フォーカスを外すと復帰が遅い
- スマートフォン (iOS) との無線通信は、一度 Bluetooth ペアリングをしておけばボタン一つでカメラの Wi-Fi ネットワークに繋げることができる。
富士フイルム XQ1 では、すでに Wi-Fi に接続している場合、設定アプリから手動でネットワークを選ばないといけなかった。それに比べると格段に使いやすい - バッテリーは予想通り減りが早い。スマートフォンのように頻繁に充電する必要がある。キャンペーンで予備のバッテリーをもらってよかった