しっとりとした本文用明朝体「ろうまん仮名」
新書や雑誌の本文が、モリサワのリュウミン R-KL で組まれているものをよく見かける。買い切りでお得な基本書体パックに含まれているし、その業界ではだいたいの環境で使えることが多いので使いやすいのだろう。
しかしながら個人的にリュウミンは見出し向けの書体であると思っている。ハライは伸びやかだし、仮名はそれぞれの美しさを競っている。それが本文となると、必ずしも読みやすいとはいえない。
そんな中ひっそりと、フリーの本文用明朝体「ろうまん仮名」が公開された。
過去にフリーフォント界隈で話題になった「かちどき仮名」と同じ作者によるもので、それと同じように東京築地活版製造所の初号明朝体の面影が見られる。線のコントラストやハライの先端処理などを見る限り、リュウミンと組むことを想定しているようだ。
含まれるフォントは次の通り。
- K-ろうまん仮名-L
- K-ろうまん仮名-R
- K-ふうが仮名-R
このうち、「K-ふうが仮名-R」は K-ろうまん仮名-R と骨格同じくして、やや細めのウェイトとなっている。
試しに リュウミン R と ろうまん仮名 R で組んでみたものがこちら。例文は北原白秋『雀の卵』より。すずめかわいい。
比較のため リュウミン R-KL だけのものがこちら。ろうまん仮名のほうがしっとりと落ち着いた印象を受ける。
いわゆる「オールドスタイル」の仮名を使いたい場合、最近のモリサワパスポートにはタイプバンク書体も含まれているので、「オールドスタイル」の源流である東京築地活版製造所の名を持つ「築地」を合わせる手もある。
「ろうまん仮名」は DLmarket から無料でダウンロードすることができる(要会員登録)。