LaTeX で Noto Sans/Serif を埋め込むための dvipdfmx の設定
2017年9月4日追記:源ノ明朝の TrueType 版「源様明朝」が公開されていたのでその記述を追加しました
LaTeX で文書を作る際、PDF にフォントの埋め込みを求められることがある。その際によく使われるのがオープンソースライセンスをもつ IPAexフォント だが、IPAex ゴシックは本文でも使えるような細身の書体なので、見出しや強調に使うといまいちコントラストが低い。
そこで同じくオープンソースライセンスながら 7 種類のウェイトを持つ Noto Sans CJK を使う。ただし Noto Sans は OpenType 形式で提供されているため、一般的な pTeX パッケージでは扱えない。
かわりに、TrueType 形式に変換した 源真ゴシック (げんしんゴシック) を用いる。源真ゴシックは Microsoft Office などでも使い勝手のいいフォントだ。
また、2017年4月に公開された Noto Serif CJK (和文部分の名称は源ノ明朝)の
TrueType 版が ButTaiwan 氏により源樣明體として公開されている。源樣明體に角立て処理を行った源流明體と、モリサワのA1明朝のようににじみ処理を行った源雲明體も同時に公開されている。
設定方法
- 源真ゴシックをダウンロード、展開する
- 源樣明體またはお好みで源流明體をダウンロード、展開する
- texmf-local/fonts/truetype/ に GenShinGothic-Medium.ttf、GenRyuMinJP-Regular をコピーする
- texmf-local/dvipdfmx/config/dvipdfmx.cfg を次の内容で作成する
f genshin.map
- texmf-local/fonts/map/dvipdfmx/genshin.map を次の内容で作成する(源流明體の場合は GenYoMin の部分を GenRyuMin に置き換える)
rml H GenYoMinJP-Regular.ttf gbm H GenShinGothic-Medium.ttf rmlv V GenYoMinJP-Regular.ttf gbmv V GenShinGothic-Medium.ttf
- mktexlsr を使っている場合は mktexlsr を行う
なお txfonts や newtx など Times 系のフォントを使う場合、太さを合わせるために Medium の代わりに Bold のウェイトを用いる。
使用方法
特別な操作は不要。次のように LaTeX で文書を作成し (suzume.tex とする)
\documentclass[a5paper,12pt]{jsarticle} \usepackage{newtxtext,newtxmath} \begin{document} すずめsuzume\textbf{かわいいkawaii} \end{document}
普段通りにコンパイルすればよい。
platex suzume dvipdfmx suzume
文書ごとに設定を変える
もし文書ごとに埋め込む和文フォントを変えたい場合は dvipdfmx.cfg を作成 (あるいは書き換え) せずに、dvipdfmx コマンドのオプションでフォントマップを指定する。
dvipdfmx -f genshin.map suzume