双眼鏡の数字アレコレ

性能表記

双眼鏡の性能は次のように書かれる。

8 × 25
最初の数字が倍率、もうひとつの数字が対物レンズの直径 [mm] を表している。

ひとみ径

双眼鏡を目から離して持つと、その先の映像が小さな丸の中に見える。これを「ひとみ」といい、この直径を「ひとみ径」という。

ひとみ径は対物レンズに定規を当てて直接計測してもいいし、対物レンズ径と倍率から算出することもできる。

ひとみ径 = 対物レンズ径 / 倍率

先ほどの例では 25 [mm] / 8 = 3.1 [mm].

ひとみ径の大きさは、双眼鏡を通して目に入る光束の幅であるといえる。ひとみ径が、目の光の入り口である瞳孔の大きさを超えると、はみ出た部分の光は無駄になる。逆にひとみ径が瞳孔より小さい場合、像が肉眼よりも暗く見える。

ヒトの瞳孔の直径は昼間で 2〜3 mm、闇夜でも 7 mm 程度なので、例のひとみ径 3.1 mm の双眼鏡は昼間十分明るく見えることになる。

視野

双眼鏡の視野の広さを表す指標としては「実視野」「見かけ視野」「1000 m 視野」が使われる。

実視野は、実際に見える範囲を角度で表す。太陽や月の大きさが約 0.5 ° なので、次の例は月を 12 個半並べたくらいの範囲が見えることになる。

実視野 6.25 °

見かけ視野は、双眼鏡を覗いたときの、像の見える広さを表している。実視野と倍率を用いて次のように表される。

見かけ視野 = 実視野 × 倍率
実視野が 6.25 °、倍率が 8 倍の場合、見かけ視野は 50 ° となる。
見かけ視野 50 °
見かけ視野 50 ° が標準視野と呼ばれ、65 ° を超えると広視野と呼ばれる。

1000 m 視野は次のように表される。

110m at 1000m
これは 1000 m 離れた場所にある幅 110 m の物がちょうど双眼鏡の視野に収まることを表している。

1000 m 視野と実視野は、三角関数を使って相互に求めることができる。

d: 1000 m 視野 [m], v: 実視野 [rad] とするとき
d = 1000 tan(v)
v = tan−1(d / 1000)