「ケ・ヶ」表記問題

市町村名につく「ケ・ヶ」の文字にまつわる問題。手書きのときには問題なかったのだろうけど、コンピュータで扱う際に文字コードが異なるので問題になっている。
大きい小さいとかで問題になっているけれど、大きさの問題じゃない。
まず「ヶ」は「箇」「个」の略字で片仮名ではない。片仮名の「ケ」は「介」から来ていると言われており、形が似てしまっただけ。手書きのときは似た字形というのは些細な問題で、前後の文脈から判断できる。
しかし日本語の文字コードを割り当てるときに片仮名の位置に配置してしまった。おそらく当時から片仮名として認識されていたのだろうか。おまけに、「箇所」のように「カ」と読んだりするので、間違って「ヵ」という文字までできてしまった。さらに平仮名との互換上、「ゖ」「ゕ」という文字まで生んでしまった。
現在における理想的な実装としては「箇」と同じコードに別の字形として割り当てるのが妥当である。しかし割り当てられてしまったものは仕方ない。Unicode でも、既存の規格で字体の異なるだけの文字が別のコードに割り当てられているものは、別のコードに割り当てることになっている。
これら「ヵ」「ゖ」「ゕ」という文字の副産物として、若い女性の「小書き」文化を生んだ。書体を変えられないメールという媒体での遊び心だ。閑話休題
役所などの事務的な作業にはこれらはそぐわない。何らかの規範が必要だ。ここは、おそらくの由来である「箇」に統一するか、片仮名としては使わない「ヶ」に統一するのが望ましい。手書きするときには「ヶ」を使うのが楽だろうし、実際略字として使われてきたんだから。
といっても、現在の検索エンジンは表記のゆれを吸収してくれるくらい賢いし、役所で使うシステムだってそのくらいしてくれてもいい。それぞれの役所がごくわずかの表記のゆれをまとめたデータベースを作り、それを統合すれば全国のシステムで使うことができる。だとしたら、規範を定めつつも表記のゆれは許容する、それでいいのでは。規範を定めれば表記のゆれは小さく収束していく。



お役所は文字についても詳しくないといけない気がするよ。あとIT化と叫ぶなら、人員も予算ももっと割り当てたほうがいいよ。
「ケ/ヶを使う市町村」のリストを見ると東日本が多い。江戸時代以降、東日本の地名を付けて行くときに流行ったのかな。